Now Loading...
Vol.9
2019.12.26

天窓の雨漏りリスクを減らすために、
知っておきたいこと

facebbok twitter
台風や大雨など、自然災害が気になる最近の日本。
天窓は雨漏りのリスクについて話題になることも多く、これから自宅の屋根に天窓の設置を考えている人も、すでに天窓のある家にお住いの人も、天窓からの雨漏りというのは、大きな懸念事項の一つではないでしょうか。
すごく大雑把な言い方をしてしまうと、天窓は屋根に穴をあけて窓をはめ込むもの。天窓と周りの屋根との接合部分の水密性が低かったら?と不安に思うのも仕方ありません。

ですが、これは天窓の造りが知られていないために生じる不安かもしれません。天窓にどういう雨漏り対策がなされているのか、雨漏り防止に大切なポイントは何なのかを知れば、きっともっと安心して天窓の設置を検討できるはずです。今回は、どうしたら雨漏りのリスクを軽減できるのか、いくつかの視点からご紹介したいと思います。

天窓と雨のイメージ

雨漏れ対策を天窓の構造から考える

雨漏りリスクなく、天窓を設置するためには、まず、設置する屋根にしっかりと勾配を取ることが大切です。水平な場所では雨水がスムーズに流れていかず、雨漏りの原因となりかねません。この天窓の設置勾配は、製品ごとにあらかじめ定められていて、写真のように、屋根全体の傾斜よりも天窓のある部分だけ強い傾斜となる場合もあります。

定められた勾配の屋根に天窓が設置されなければならない理由を天窓自体の構造からご説明します。

天窓の外装部分(写真ではガラス窓の枠のように見えています)とガラスの間は、シリコン系のシール材でしっかり塞がれており、文字どおり、水も漏らさぬ造り。しかも、このシール材は、一部の天窓製品においては20年の保証をも可能にする耐水性があるので、すぐに劣化する心配はありません。

天窓のある部分だけ強い傾斜となる場合のイメージ

万が一このシール材が経年劣化して雨水が浸入したとしても、侵入した雨水はガラスを受けるガスケット上を流れ、天窓下方から排水されるようになっているのです。ただし、屋根の勾配が緩く、設計基準を満たしていないと、台風で浸入した雨水が逆流したり、「排水溝」から反対に水が入ってきたりするリスクが生じます。
勾配に関する基準が設けられているのは、そういった意味があるのですね。

ガラスを受けるガスケットのイメージ

フラットな屋根にも。進化する天窓

設計基準を満たすために、勾配が重要と説明しましたが、近年、モダンな外観デザインが好まれる傾向や、限られた面積で居住空間を広くとりたい需要などもあり、フラットな屋根の住宅も増えてきています。その場合は、「天窓をつけたい!」という気持ちを諦めなければいけないのでしょうか・・。
いえいえ、そんなことはありません!

陸屋根や緩勾配の屋根でも使えて、雨漏りの心配がないフラットシリーズ「FCMフィックスタイプ」が、2020年1月に日本ベルックスより発売されるのです。

フラットシリーズ「FCMフィックスタイプ」

この天窓は従来と違い、ガラス窓の縁の四方すべてを傘のようにゴムが覆っています。アルミの外装部分とガラスのシール材から万一雨水が浸入した時も、この傘によって天窓開口から離れた場所に水を排出できるようになっています。

ガラス窓の縁の四方すべてを傘のように覆うゴムのイメージ

雨漏れしないための天窓の性能はどのようにはかる?

構造面から、雨漏りリスクの軽減についてお話してきましたが、その性能はどのように判断したらいいのでしょうか?
―そんな時に指標となるのが、3性能試験と呼ばれる性能試験と、その結果に基づく等級です。
3性能試験では、台風などで天窓が強風にあおられて水が逆方向に押されることも考え、水密性、気密性、耐風圧性についてそれぞれ確認をし、等級ごとの「合格」を取得します。水が漏れにくいかどうかを調べる水密性では、住宅用の天窓としての最高等級はW-5等級で、天窓を造るサッシメーカーはどこもこの等級の取得を目指します。

性能試験と等級の表

天窓専門メーカーの日本べルックス、本社でも大型の風洞実験装置を備え、台風や豪雨、梅雨を再現して実証実験を重ね、トリプル防水構造を施した「日本専用仕様」スカイビューシリーズを作成しています。(べルックス製品の防水性能ページ参照)

トリプル防水構造

写真は、先ほど紹介した新発売のフラットシリーズ「FCMフィックスタイプ」の3性能試験から、水密性能試験の模様です。強い圧をかけて水が入らないかどうかのテストを行っています。

「FCMフィックスタイプ」の水密性能試験

天窓の交換の際にも力を発揮する防水シート

雨露をしのぐとき、日本人が屋根で最初に思い浮かべるのは瓦などの屋根材ですが、台風など強風を伴う雨の場合、屋根材と屋根材の隙間から水が入ってしまいます。そんな雨水の浸入を防ぐのが下葺材であるルーフィングシート(防水シート)です。
ルーフィングシートには、価格、耐久性、用途などの面から、幅広い選択肢が用意されています。
天窓周辺にはより信頼性の高いものを選んで使いたいものですね。

写真は、古くなった天窓を交換するリフォーム現場の工事の様子です。耐用年数の長い瓦はそのまま活用する前提で、まずは部分的に剥がしながら作業します。この写真の屋根は、30年以上前に施工されたものですが、天窓周辺には現在最も信頼性の高い防水シートを使用しています。天窓周辺の屋根の勾配、天窓の材質に加え、ルーフィングシートで二重、三重の備えをするわけですね。

ルーフィングシート(防水シート)

天窓の保証について

さまざまな方法で天窓からの水漏りの対策はしていても、それがあるとないとで大違いなのが「保証」です。漏水のリスクが心配な天窓には、最低10年の防水保証があります。製品にもよりますが、ガラスシールには20年保証のある製品もあります。
また、有償点検を行うことで10年目以降、20年目までというように保証を延長できる「安心点検」サービスもあります。

製品そのものの性能はもちろんですが、その保証とメンテナンスについても確認しておきましょう。より安心して天窓のある生活を送っていただけると思います。

保証

安心な設置について

天窓自体の性能や、保証内容ももちろん非常に大切ですが、同じくらい重要なのが、やはり『正しく施工されること』です。せっかく防水性能の高い天窓を導入しても、施工が適切でないと本領を発揮しません。特にリフォームなどで古い天窓を交換する場合、日本べルックスでは各地域で推奨工事店をご案内していますので、こちらをご確認ください。



天窓を設置する際に雨漏りを心配される方が多いと思いますが、最新の天窓は非常に性能が向上し、雨漏りに対するメーカーの対策は万全です。ご紹介したこれらのポイントを確認すれば、新築への天窓の設置をお考えの方も、リフォームや天窓の交換をお考えの方も、より安心して検討を進められるのではないでしょうか。