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Vol.8
2019.11.19

冬に感じる天窓のメリットと
上手な扱い方とは

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秋も深まり、紅葉を楽しむ季節になりました。暑かった夏と違い、これからはそんなに天窓を開閉しなくても…とお思いでしょうか。そんなことはありません。冬だからこそ活きる天窓のメリットがあるんです。今回は寒い季節に効果的な天窓の使い方と寒い地方に特化したタイプの天窓をご紹介します。

冬の天窓のイメージ

冬は天窓の開閉はしないもの?暖房時の換気の話

冬に窓を開けると、せっかく暖房で暖めていた室内が冷えてしまうから、天窓もなるべく開けない方が良いのでは…。こんな風に考える方もいらっしゃるかもしれません。

――これ、一見正しいようですが、石油ストーブなどの暖房器具を使うことが多い冬には、定期的な換気は必要不可欠なことを考えると、やはり閉めっぱなしは避けるべきでしょう。後ほどくわしく述べますが、換気をすることは結露対策にもなり、カビなどの発生で家が傷むのを防ぐことにもつながります。天窓もうまく活用して、効果的な換気を行ないましょう。

壁面の窓だけの建物に比べ、立体的な通風が行える天窓は、換気の効率がよいので、室温を大きく下げることなく短い時間でもうまく換気をすることができます。
冬は、天窓をごく短時間開けて、外気で室内全体が冷え切ってしまう前に換気をすませましょう。

冬の天窓のイメージ

天窓の計画にひと工夫がなされていれば、外気の影響も最小限に抑え、室温を保つことにつながります。ではその工夫とはどういうものでしょうか?
まず、暖房をする部屋に天窓があること。その次に大事なのは、十分な採光と換気が得られる中で、天窓を最小限の大きさにすることです。壁に設置する窓に比べ、天窓はより小さな面積で同等の明るさや通風量を得ることができます(天窓のサイズについてはVol.4『天窓のサイズや種類、どのように決めたらよい?』をご覧ください)。
この2つの条件をクリアしている天窓は外気温の影響を受けにくいのです。

冬の天窓のイメージ

ガラスの種類によって寒く感じる?体感温度のお話

さて、ガラスの断熱性の高さは重要なので、もう少しお話しします。
同じ部屋の中で、ドアや窓を閉めて隙間風は一切入ってこないというのに、なんだか肌寒い場所と快適な暖かさの場所があると思ったことはありませんか?これは、断熱性の低い窓ガラスに近い場所と、その窓ガラスから離れた場所の違いかもしれません。なぜなら、ガラスの断熱性の違いで体感温度は大幅に変わるからです。

冬の天窓のイメージ

少々専門的になってしまいますが、人間の体感温度を算出するする計算式は次のようになっています。
体感温度≒(室温+表面温度)÷2
この式に出てきた表面温度というのは、大まかに言えば、壁や窓、床のそばの温度と考えればいいでしょう。つまり、室温がそれなりに暖かく保たれていたとしても、断熱性が低くて外の寒さを伝えてしまうもののそばでは、寒く感じてしまうのです。下のイラストは、窓の断熱性の違いで、体感温度がこのくらい変わってしまうということを示したものです。

室内側ガラス表面温度比較

というわけで、寒い時期にも室内を快適な暖かさに保ちたいなら、断熱性の高い窓ガラスを設置することが大きなポイントになります。天窓のガラスはもちろん、通常の壁に設置する窓ガラスも、断熱性の高いものを選べば、冬暖かいエコな環境の家になります。

結露を防ぐには換気が一番

せっかくお風呂で温まったのに天井からピチャッと落ちてくる冷たい水滴。暖かい室内でふと窓を見たら、窓の桟がビチョビチョに濡れている。これらは皆、結露のせいです。放置すると、窓の周りが濡れるだけでなく、カビが発生することもあり、対策が必要です。その対策とはズバリ、換気なのですが、ではなぜ換気は結露に効果的なのでしょう?
その答えは、結露がどう発生するかにあります。ここでは、暖房で暖められた室内という条件で結露のしくみを見てみましょう。

まず、暖房で暖められた空気はたくさんの水蒸気を含むことができます。その空気が、外気で冷たくなっている窓ガラスに冷やされると、空気中に蓄えておけなくなった水蒸気が水になります。これが結露です。たとえば、眼鏡をかけた人が冷えきった身体で帰宅し、コンロで煮炊きしている台所に入ると眼鏡が曇りますよね。これもまた結露です。
つまり、結露は湿った(=水蒸気を含んだ)暖かい空気と、冷えたガラスや壁などが物理的に触れ合うと発生するのです。ということは、そのどちらかをなくせば結露は発生する確率が低くなるんですね。

結露を防ぐのに有効なのが換気です。水蒸気を含んだ暖かい空気は、空気の冷たい方へ流れるので、隣の部屋に流す代わりに外へ逃してしまうのが効果的なのです。具体的には浴室を使った後や、暖房機器を消す時(暖まった空気が冷える前)に、換気をすることで結露やカビの発生を抑えることができます。

結露のイメージ

「でも、換気すると冷えちゃうでしょ?」と思った方、ええ、そうなんです。でも、「天窓による換気」なら大丈夫。天窓は換気効率が高いので、結露に対しても有効なのです。天窓があれば、室内が冷えきってしまう前にすばやく換気を終えることができ、室温の復帰も早くなります。
ここで、換気とカビの増殖についての関係性にも触れておきましょう。カビの増殖には、次のような性質があります。

①湿度は60%を超えないように保つことが重要
(出典:文部科学省『カビの発生しない環境づくり』)
②湿度75%から100%でカビはよく増殖する
③湿度が55%以下になるとカビの増殖は抑制される
④カビの成長に適した温度は20℃〜30℃、37℃以上になるとカビの成長は鈍る
(出典:神奈川県『住まいの中のカビについて』)

温度37℃以上というのは室内では現実的ではありませんので、カビを防ぐのに効果的なのは、湿度を55%までに抑えること、となりますね。天窓により効率的に換気を行えば、結露もカビも抑制できて、快適で清潔な室内環境が保てるのです。

リラックス効果

結露やカビの防止に効果的!と、おわかりいただけたと思いますが、天窓の効果はそうした物理的なものばかりではありません。室内にこもりがちな冬でも、天窓を通して外の自然を感じ、陽射しを浴びることで、私たちはとてもリラックスした気分になります。空気が澄んで星がまたたく冬の晴れた夜に、暖かな室内から夜空を見上げるのもロマンチックでいいですね。

天窓イメージ

寒冷地用の天窓も

極寒の北欧で長く使われてきた実績をもつトリプル(三層)ガラス仕様の天窓が日本でも発売されました。「GGU寒冷地タイプ」は、窓枠に高い耐久性と省エネ性能が備わった特別仕様の天窓です。冬の厳しい地域にお住まいの方はぜひご検討ください。明るく暖かく快適な家があれば、冬もまた楽しい季節になるに違いありません。

GGU寒冷地タイプ