天窓に防火対策が必要なケースって?
家の新築やリフォーム、土地や家屋の売買を考えて情報を集めたときなど、「防火地域・準防火地域」という言葉を見かけたことはありませんか?
これは様々な建物が密集する市街地で火災が起きたときに、可能な限り燃え広がるのを防ぐために、あらかじめ対策をとるよう都市計画法で定められている地域のことです。
こうした地域で家を建てる場合、防火対策の一部として、建物の構造や素材に関して建築基準法が定めた条件をクリアしなくてはなりません。
建築には様々な法律や条例などが関わってきますし、天窓は家屋の一部ですから、防火対策済みの天窓が必要となる場合も出てきます。ですので、家を建てる地域と選ぶ天窓の組み合わせには注意が必要です。
なお、防火という観点から見た天窓には、少々わかりづらい部分があるかと思われます。防火扉などの「防火設備」とは違う捉え方が必要な天窓の位置付けを、もう少し詳しく解説してみます。
防火においては、×「天窓=窓」〇「天窓=屋根」
天窓(トップライト)の防火における扱いに関して、明確な規定は実は、ありません。法令などに基づく天窓の規格・試験方法・認定などが現状定められていないため、どのような天窓なら設置できるのかの判断は地域の確認申請機関に委ねられることになります。
例えば、準防火地域における天窓について、木造2階建ての場合は、天窓の外装が不燃材(アルミ+ガラス)であれば使用が認められますが、その多くの場合で網入りガラスを用いるよう指導されます。
天窓は外壁開口部ではないので*1、防火扉や防火シャッターといった防火設備の必要はありません。
ただし、木造3階建てになると、「準耐火建築」以上の耐火性能*2を求められるため、各地の行政/申請機関の判断に従って天窓の仕様を選び、さらにそれに合わせた施工を行う必要が出てきます。*3
*1 天窓は屋根の開口部と見なされます。外壁の開口部ではありません。屋根か外壁かで、扱いが変わることを覚えておくとよいでしょう。
*2 「耐火」と「準耐火」では火災に対する耐性の高さが違います。少々乱暴なまとめ方になりますが、火災が起きて火にあぶられても倒壊や延焼を防止できるのが「耐火」、延焼を抑制できるのが「準耐火」です。また、耐火性能は「30分耐火」のように、火災に耐えるとされる時間で表します。
*3 防火地域及び、新防火地域(東京都の条例により震災時に発生する火災等による危険性が高い地域として、都知事が指定する区域)での天窓の使用に関しては、その地域の行政/申請機関の判断に従ってください。(
防火の扱いについて)
ここまでをまとめると、次のようになります。
1:天窓には「窓」という文字が含まれていますが、防火上は「屋根」。
2:準防火地域の木造3階建ての「屋根」には30分の耐火性能が必要。
3:準防火地域の木造3階建ての「屋根」に設置する天窓にも30分の耐火が必要。
30分耐火の天窓ってあるの?
…と、ここまでだけ読むと、30分耐火の天窓ってあるの?、準防火地域の木造3階建ての戸建に天窓をつけるのはムリかも…と思ってしまいそうですが、それは早計というものです。
なぜなら、VELUXでは「30分耐火の屋根」に対応する天窓を提供しているからです。そう、たとえ準防火地域の木造3階建でも、天窓のある家を、という希望を最初から諦める必要はないのです!
では、「30分耐火の屋根につけられる天窓」とは、どういうものなのでしょう?
先に挙げたように、「30分耐火の屋根につけられる天窓」について、明確な規定や大臣の認定はないのが現状です。しかし、そんな中、「鉄材で補強されたガラスブロックもしくは網入りガラスで造られたもの」を「耐火構造の屋根」とする告示がなされています。そこでVELUXがこの告示に対応するよう用意したのが「FS SRスチール補強天窓」です。
「FS SRスチール補強天窓」は、①断熱性の高い住宅用天窓の枠をスチールで補強し、②木製枠の室内側に強化石膏ボードの下地を設け、ステンレスフレームで被覆した(覆った)構造が特徴です。
通常は、これで「準防火地域の木造3階建の屋根につける天窓」に要求される仕様は満たされます。とはいえ、「FS SRスチール補強天窓」を採用さえすれば、という油断は禁物。最終的には各地の行政/申請機関の判断に従ってくださいね。